天国の旦那様への想いが込められた、オーダーメイドのろうそくカバー

昨年の12月のある日、

一通のLINEが入りました。

それは、その頃開催していたイタリアンレストラン・ピアットノノさんでの個展で、作品を見ていただいたお客様からのお問い合わせでした。

「ピアットノノさんで 拝見して こんな素敵な備前焼が あるんだと感動しました。
特に光が 綺麗で、亡き夫のろうそく立てにしたいと思って考えてます。

終活で、なるべくモノを減らしていこうとしていましたが、キャンドルホルダーをみた途端、どうしても欲しくなりました。」

という内容でした。

お客様が感動してくださったのは、

わたしの代表作でもあるキャンドルホルダー。

これは小さなティーキャンドルを入れて使うものですが、

お部屋で天国の旦那様と共に過ごす時に、ろうそくカバーとして使える作品が欲しいということでした。

LINEを読ませていただきながら、

そんな大切なお品を、私に作って欲しい、と思っていただけることを嬉しく思い、
普段はあまりオーダーは受けていないのですが、この度はお受けすることを決めました。

色んな長さのろうそくカバーとして使うため、
オリジナルの形とサイズでのオーダー。

模様のリクエストは、
旦那様との思い出でもあり、娘さんのお名前の由来にもなった星と月をモチーフに、とお願いされました。

初めて作るお品だったので、
それをいかに作品として形に落とし込むか、
どうしたら、満足していただけるかを考えながら、心を込めて作らせていただきました。

まさに、いってんもののオーダーメイドです。

今回の作品のご注文は、お客様にとって、とっても大切な想いがあると思います。

作っている間も、やはり、実際に作品を見ていただくまで、気に入ってもらえるかずっと不安でしたが、
ついに先日完成し、お客様へお披露目となりました。

リクエストである月と星をメインに、ろうそくを入れた時に、天の川のような流れと、星空のように広がる光をイメージして作りました。

そして、お客様からのご感想は、

「すっごく 感激してます。ありがとうございます。
私が 思っていた以上の素晴らしい作品ただただ感激です。
嬉しくて
机の上の夫がゆっくり休めないほどのロウソクの連続。
眺めているとなんだか沈んでいる気持ちも和らいで、嬉しいです。
本当に吉岡さんの作品に出会えて幸せです。」

そして、

「もし 吉岡さんが 宜しければ 作品 紹介して頂いても良いです。
こんな素敵な作品 私だけでは 勿体ないです。」

と、こんなありがたいお言葉までいただきました。

本当に、わたしの方こそ、こんなに喜んで頂けて、幸せな気持ちにしていただきました。

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いつも思いますが、

私に出来ることって本当に小さいことで、

私よりすごい作家さんとか、才能ある人とか、この世にはごろごろいるわけですが、

しかし、それでも、こうやって、

私の作品に触れて、少しでも心があったかくなって、幸せを感じてもらえることができるのって、なんとも言えない気持ちを感じさせてもらえます。

お互いが、嬉しくなれる関係って、とても大切だなって思って、

実際に出会ったことない人とも、作品を通してこんな風にあったかい気持ちを送り合えるのって、なんだかすごいなって。

毎日色んなことがあって、

落ち込むこともたくさんあって、

悲しいことやうまくいかないことや、

たくさんのどうしようもできないことが降りかかってきて、

心がボロボロになりそうでも。

「自分なんて」って、卑屈になってる場合じゃないなって。

思って。

今まで、挫けそうになりながらも続けてきた意味が、少しずつ少しずつ、見えてきた気がします。

私が、すごく落ち込んでる時、

私も大好きなものに囲まれたり、大好きな曲を聴いたりして、

心に元気をもらっています。

私も反対に、微力ながらも、誰かに元気を届けられるって、

なんか、

上手な言葉が見つかりませんが、

そうやって、受け取って、送って、また受け取って、

そうやって、グルグルと元気を循環できたらいいなぁ。

そんなことを、改めて感じたのでした。

この嬉しい気持ちをまた、お客様に返していけるように、
私自身も元気でいきたいと思います。


この記事を書いた人

吉岡亜子

備前焼作家。備前焼の窯元で陶工として8年間勤めたのち、「備前焼をもっとかわいく、もっと身近に!」をコンセプトに独立。
女性ならではの感性で、手にした時使いやすく、見た目も可愛い備前焼を提案。
現在は備前焼の体験教室の講師も務める。