去年の今頃は…、そして焼き物を15年続けてきて今、思うこと

こんにちは。備前焼作家、吉岡亜子です。

「備前焼をもっとかわいく、もっと身近に!」
をコンセプトに、女性らしい世界観で新たな備前焼の魅力を提案しています♪

最近お散歩していたら、ホトケノザが咲き始めていました。

この花を見ると、ちょうど去年の今頃、毎年フランスで開催されているジャパンエキスポ出展のための準備に追われる日々だったことを思い出します。

Japan Expo20 in フランスの準備 〜海外輸送ってこんなに大変!〜

一年ってあっという間ですね。

でも、今から振り返っても本当に、行ってよかったなって思います。

ジャパンエキスポのお話をいただいて、嬉しいと同時に、それにともなう出展費や旅費など大きな出費や準備など、私にとってはかなり大きな不安を持ちつつも、出展すると決めた自分。

その大きな決断をして、出展したからこそのいろんな経験をして、それをやりきったことで、自分に対しての自信にもなったし、その後、多少のことではビビらないようになれた気もします。

そして、普通だったら経験できないような、
自分が生み出したものを、自分の周りの人だけじゃなく、海外の知らない人まで見て触れて楽しんでくれるって、
そんなことなかなか出来ることじゃないよなあって、
この仕事してるからこその凄いことだよなあって改めて思うのです。

はっきり言って、今のお仕事は、
大学入る前の20年前は全然想像もしてなかった。

大学に入ってからも、卒業前の就職活動しようってなったときだって、
こんな、博打のような仕事なんて生活していくのも厳しいと思うし、できるともやろうとも思ってなかったし、

こういう芸術的な仕事は、なんか、すごい才能があるとか、夢があるとか、覚悟が決まってる人がやるもので、
自分みたいな普通の、なんの取り柄もないし行動力もない人ができるような仕事じゃないと思っていました。

そんな時にたまたま、ほんと偶然、

備前焼の窯元で、女子を募集してる、という話が来て、

備前焼なんて全然かわいくないし私の好みじゃなかったけど、
最初は、お給料もお休みも、かなりブラック企業だったけど、

色んなこと考えてすぐ不安になったり石橋たたきすぎる性格なわりには、
将来のこととかは深く考えていない私だったので、

他に特にやりたいことがあったわけじゃないし、でも普通の仕事はしたくないって思ってて。

何かちょっと普通じゃない、ってところに惹かれただけで就職しました。

入ってからがほんと大変だったけど。
窯元がなくなるまでの8年間、それはそれは必死に食らいついていました。

それでもそんな中でも、自分にとって何かプラスになることを色々見つけて、
しんどかったけど、学ばせてもらったこともたくさんあるから、
今思っても後悔はしていません。

窯元がなくなる時、もう全く違う仕事をしようか、続けるか、岐路にも立たされました。

でもこれも偶然、たまたま、備前焼の指導員を捜しているって言う話が来て。
もう少し続けてみようってなって。

今までは窯元の商品を作ってきたけど、今度は自由に自分の作品を作っていきたいってなって。

働きながら、休みの日を使いながら、自分の制作を始めて、

それからもう約8年…

私の場合、はっきり言って、消去法で選んできた人生。

やりたいことを選んできたのではなく、
やりたくないことを選ばなかった感じ。

でも、なんか、不思議なことに、
いろんなご縁や、チャンスや、周りの手助けや、いろんなものが繋がって、
気づいたら、焼き物を仕事にしてからすでに15年経ってました。

消去法で選んできた人生だけど、最終的に選んで決めてきたのは自分で。
消去法だからと言って、楽だったわけではないけど、

ただ、やめる勇気が無かっただけなのもあるけど、

でもそれを、何事も無く無事にずっと続けて来れたことは幸せなことだよなあって。

自分は普通でなんの取り柄も才能とかもないからこその、
「ちょっと人と違って、なんか注目されて、褒められるようなこと」
に、心の奥底で憧れがあったから、

凄い人を見たり、誰かの才能にモヤモヤしたり、自分に自信がなかったりしつつも、やめれず続けてきたんだろうな。

嫌だったらやめればよかったけど、やめたらほんとに何にもなくなる気がしたし。

その結果、今では
個展やらせてもらったり、
ちょこちょこ出展オファーをいただいたり、
いろんな人が、作品を見てくれて、かわいい、好きだ、と言ってくれたり、

ほんのちょっと前には想像できなかったことを経験できてる自分がいる。

上を見たらキリがないけど、
自分がどうしたいのかもわからず、もがいて悩んでた10年前の私からしたら、凄いところにいるなぁって。

すごい才能があったりセンスがずば抜けている人に憧れはあるけど、
そんなに憧れても自分はそうじゃないわけだから、

全然才能なくても、取り柄なくても、

自信無くても、覚悟がなくても、

その分、ちゃんと責任感は持って、きちんと誠実に、少しずつでも続けていたら、

どんな人にもちゃんとチャンスはあって、なんらかの形にはなっていくんだと思います。

ただ、やめる勇気がなかっただけだとしても、
それでも、どんな形であれ、これだけ続けてきた自分って、実はすごいんじゃないかな?

って、自分を褒めてみようかな。

今は、いろんな人が、
私の作品欲しいって言ってくれています。
私が、なかなかうまく立ち回れなくて、作るペースが遅くて申し訳ないけど、
無理はせず、
お互いが、嬉しくなるように、こたえていけたらいいなぁ。

なんて、ふと思ったのでした。

今年は秋にまた、個展も決まっているし、またたくさんの人に、
作品を通して感謝の気持ちと好きっていう気持ちを返していけたらいいなあって思います。

とりとめもなく綴ってみたけど、

もし誰か、同じように感じてる人がいたら、

こんな私でも何とかなってるよって、

自信なくても確実じゃなくても、
悩んでるなら、ひとまず動いて続けてみる。

って、伝えたい想いと、

これからの自分にも同じように伝えてあげて、進んで行きたいなって思います。

この記事を書いた人

吉岡亜子

備前焼作家。備前焼の窯元で陶工として8年間勤めたのち、「備前焼をもっとかわいく、もっと身近に!」をコンセプトに独立。
女性ならではの感性で、手にした時使いやすく、見た目も可愛い備前焼を提案。
現在は備前焼の体験教室の講師も務める。